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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

奥飛騨・新穂高温泉

奥飛騨・新穂高温泉

 夏が来た!!今年の梅雨明けはわかりやすかった。
長引く梅雨の間、カバーかけっぱなしでバッテリー上がっちゃったんじゃないかしら、と冷や冷やしながら、バイクにエンジンをかけた。久々の遠出である。目指すは、高山の向こうの奥飛騨温泉郷にある、大自然と雄大な山々に包まれた新穂高温泉。

 郡上からせせらぎ街道に乗り、高山を通過し、山を越え谷を越え、木々の匂いを嗅ぎながら、たまに川沿いから流れてくるBBQの匂いを嗅ぎながら、風になったようにひたすら気持ちのよい道をずっとず~っと走る。

 ここで、奥飛騨温泉郷について少し。奥飛騨温泉は、150箇所以上も露天があると言われる日本屈指の温泉郷。その数は全国一とも言われ、しばしばメディアなんかでもとりあげられる。平湯、新平湯、福地、栃尾、新穂高と、5つの温泉地を持ち、新穂高温泉は、その中でも最奥部にある。湯質も雰囲気それぞれ多種多様で、何度行っても行き足りないくらいなのである。

 今回の宿泊先は、新穂高温泉の中尾と呼ばれるエリアにある『別館まほろば』。
某口コミサイトでかなりの高得点を得ている家族経営の宿だ。この温泉地の看板、蒲田川沿いにある無料公共混浴露天『新穂高の湯』から約5分。ロッジ風の佇まいをした、家族経営のアットホームな宿である。

 人気の理由は、雄大な北アルプスの峰々を望む4つの貸切露天風呂とお料理。
貸切露天は、焼岳の湯、錫杖の湯、穂高の湯、笹の湯と、北アルプスの山名がついている。「空いてたら鍵をかけてご自由にどうぞ」形式だ。お湯に浸かりながら、大自然の雄大な景色を独り占めすることができる。お湯の温度や風景がお風呂によって違うため、とりあえず全部入って各々を満喫。長時間のツーリングで疲労した足腰の筋肉をゆっくりほぐす。

 新穂高温泉と一言で言っても、いろんな源泉が湧いている。
ここ中尾エリアは、前述した公共露天『新穂高の湯』とは違う泉質を持つ。硫黄泉が混ざっており、この源泉は近隣7つの宿をカバーしている。源泉温度が90℃近くと高温のため、天然の湧き水で加水。どのお風呂の吹き出し口からも、源泉と湧き水の2種類を設置しており、よって、硫黄臭が緩和されている。乾燥肌の私にはちょうどよい。お湯は全体にさらっとしており、関節痛をやわらげてくれるという効能は、まさに今の私にはぴったりだ。

 食事のクオリティもかなり高い。炭火串焼きやほうば味噌焼きなど、惜しみなく名産飛騨牛や山菜、川魚をふんだんに使ったお料理である。こんなにコストパフォーマンスが高ければ、トイレが共同なのも、布団は自分でしかなくちゃならないのも、ちっとも気にならない。

 食後、夕涼みに外へ散歩に出た。
少し歩くと、これまた公共の無料足湯があった。足湯につかり、夜空を見上げて驚いた。宝石箱をひっくり返したような満天の星空。天の川までくっきりと見える。ちなみに昼間は、目前に迫る新穂高岳を望みながら浸かれるという、なんとも贅沢なロケーションだ。

 翌朝チェックアウトをしたら、スカッとした晴天である。吸い込まれそうな青空の中、北アルプスの峰々をもっと大パノラマで見ようと、新穂高ロープウェーに登った。

 バイクに乗り、温泉に浸かり、足湯に浸かり、ロープウェーに乗り、何をしても絶景と森林浴を満喫できる旅。こんな所はそうそうない。同じ東海地域にこんな素晴らしい温泉地があるなんて、この地域の人たちは、もっと胸を張っていいと思う。

 そして、後ろ髪を引かれる思いで、澄みきった山の空気の余韻を記憶に留めたまま、灼熱の下界へと戻っていった。

 長くて暑い(熱い)夏が始まる。

【新穂高温泉 別館まほろば】
住所: 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷新穂高温泉
電話: 0578-89-2382
アクセス
 車の場合: 東海北陸自動車道(Or せせらぎ街道 Or R41) → 高山 → 国道158号線 → 国道471号線(アクセスマップ:http://www6.ocn.ne.jp/~mahoroba/access/index.html
温泉名: 新穂高温泉
泉温(源泉): 88.0度
泉質名: 単純温泉・硫黄泉・塩化物泉
色・味・匂: 無色透明・無味・硫黄臭
効能: リウマチ、動脈硬化、関節痛、腰痛、筋肉痛、気管支拡張症、白ろう病、薬物中毒症、皮膚病、便秘、高尿酸血症、高血圧症、更年期障害、冷え性、不妊症
料金: ¥10,500~¥12,600(一泊二食付)
公式HP: http://www6.ocn.ne.jp/~mahoroba/index.html

2010年08月05日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!