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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

木曽御嶽の霊泉 おんたけ高原温泉

木曽御嶽の霊泉 おんたけ高原温泉

 御嶽山といえば、中部最大のパワースポットではないだろうか。

 標高3,067mの御嶽山は、山を神様として奉る御嶽教の宗教登山で有名である。私自身、宗教深いわけでもなんでもないが、大きな山というのは何かしらパワーを秘めているのが感じられるし、事実、そこに建立されている御嶽神社に行くと、神聖な空気を肌に感じることができる。御嶽神社の先をもう少し登ると、清滝とよばれる、信者が滝行する大きな滝が現れる。白装束を着て滝行する信者に遭遇すると、古より続いている御嶽教の信仰深さに、畏怖の念を抱かずにはいられない。

 富士山と並び日本三霊山とも言われる御嶽山は、活火山が故、様々な種類の温泉が至る所に湧き、立ち寄り温泉に困ることはない。まだ雪が降る前の季節だったため、澄んだ空に紅葉が美しい中、御嶽山へドライブに出た。今回は日帰りで何の予定もなかったが、山の中腹辺りで、路上沿いにはためくノボリに吸い寄せられるように、「こもれびの湯」に立ち寄った。

 こもれびの湯は、名古屋市が運営するおんたけ休暇村の付属施設で、宿泊客はもちろん、立ち寄りでもリーズナブルな価格で入浴できる。大して広くもなく、内湯も露天もシンプルな造りで、そこらへんの町民用の銭湯みたいだし、「木漏れ日」なんて名前も控えめなのであるが、その湯質は驚くほどの特徴がある。

 ここのお湯は、鉄の臭いのする冷鉱泉で、鉄分・炭酸などのミネラルを多く含む療養泉でもある。お湯の色が褐色というか黄土色。加温はしているがもちろん源泉かけ流しで、色も成分も濃ゆい。タオルをつけると(ホントはつけてはいけません)、黄土色がそのままタオルについてしまうほどである。

 内湯に長々と浸かっていると、身体の芯まで温まってくる。火照った身体を冷やすために、露天風呂へ移動する。雑木の間から本当に木漏れ日が心地よく肌を照らす。周りには何もなく、ただただ静寂の時間が、ちょろちょろという源泉の湧く音と共に流れていく。

 温泉から上がり外に出ると、飲泉用のコップが置いてあり、温泉が惜しげもなく蛇口から流れていた。たいていの飲泉がそうであるように、ここも消化器系と便秘、貧血に効くらしい。特にどこかを患ってるわけではないが、霊山から湧く霊泉を有難く頂戴した。ぬるい鉄サイダーの味がしたが、外側からも内側からも霊泉で全身を清めれば、御嶽山のパワーでみなぎっている気分である。

 今は深い雪で覆われており、辿り着くのは大変であるが、雪化粧をした御嶽山もまた美しい。雲海から頂上をのぞかせる雄姿は思わず息を飲むほどである。近年ブームのパワースポットは、全国のみならず、世界中でいろな場所が挙げられているが、まずは身近を見直してみませんか。遠くに行かずとも、こんなに素晴らしく力を秘めた霊山・御嶽山の霊泉に浸かるだけで、大変な御利益があるに違いない。

【おんたけ高原温泉 こもれびの湯】
住所: 長野県木曽郡大滝村3159-25
電話: 0264-48-2111
アクセス
 車の場合: 小牧東IC(中央道) → 中津川IC下車、国道19号より御嶽山方面へ おんたけ休暇村キャンプ場横・樽沢沿い
泉質名(銀泉): 単純二酸化炭素・鉄(Ⅱ)冷鉱泉(炭酸水素塩型)
泉温(源泉): 9.9度 (PH値 5.7)
源泉かけ流し(加温あり)
色・味・匂: 無色透明、無味無臭
効能(入浴): 高血圧症、動脈硬化症、きりきず、やけど、月経障害、慢性消化器病、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、うちみ、痔疾、くじき、病後回復期、冷え性、関節のこわばり
料金: ¥500(大人)、¥300(小人)

2012年01月11日

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取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!