2008年09月19日
台湾新竹県の廟(びょう)で8月下旬にあった「義民節」のパワーに圧倒された。清代に起きた明朝復興の反乱に対し、地域を守るために犠牲となった義民を祭る祭事だ。
奉納する豚の巨大さを家々が競い合う。肉をそがれた豚の皮が、トラック荷台の直径約2メートルの丸い枠に太鼓のように張り付けてある。
枠の周りは派手な電飾が施され、何ともユニークな雰囲気を醸し出す。上位入賞のトラック33台が居並ぶ光景は圧巻だ。
豚顔負けのパワーを発していたのが、トラックの合間合間に設けられた小ステージ上の若い女性たち。申し訳程度の衣類を身に着け、大音響で歌い、踊る。彼女たちはいわゆる派遣型の芸能タレントで、各地の祭りや宴会、結婚式や葬式にも呼ばれる。
境内の騒がしさを尻目に、廟内では人々が熱心に祈りをささげる。敬虔(けいけん)さと俗っぽさの混在。そのこだわりのなさに、脱帽。
(栗田秀之)