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北京 国境越えた名コーチ

2008年10月01日

 北京在住の日中スポーツ、マスコミ関係者が集まり、北京五輪で中国シンクロコーチを務めた井村雅代さんの帰国送別会を開いた。1年8カ月間、休みなく指導し「万里の長城も行けへんかった」と笑う。中国初の銅メダルをもたらし、表情は満足げだ。

 猛練習を課す一方、病気の選手を看病し、自信を失えば「あなたには世界一の脚がある」と励ましたという。宴席には選手から声のメッセージも。「私の結婚式に来てね」「感謝です。でも、練習はもう勘弁よ」

 宴席の中国人は「スポーツに国境は無いことを先生は証明した」と謝意を述べる。ある日本人は「最初はコーチ就任に反対だった。今は日中の懸け橋になったことを尊敬する」と語った。

 五輪では日本代表にも中国人コーチがいた。「世界のスポーツはええとこを教え合う時代。鎖国では勝てない」と井村さん。相手に教え、学び合う。スポーツだけの話ではないだろう。

 (平岩勇司)