2008年10月12日
グルジア紛争で、ロシア軍侵攻の象徴的な対象となったグルジア中部の都市ゴリ。その周辺には、グルジアワイン用のブドウ産地が点在する。その一つの村で、思いもかけぬ歓待を受けた。
取材で雇った運転手が親類宅に寄りたいと車を離れた5分ほどのこと。彼の知り合いという村人が記者の周りに集まり「日本人か。まあ、これを食べろ」と今が旬の果物をどっさり。そのうちペットボトルに入れた自家製赤ワインも「持って行け」。運転手によるとこの地域では「来客」に対し、とにかくもてなすのが礼儀という。
ここにもロシアの戦車部隊が押し寄せた。ロシア兵が食べ物を求めたのでやむなくパンとワインを出したが、迷惑千万な「来客」に今も怒りが収まらない。「しゃくだから言ってやった」と村人。「今度は武器も戦車もなしで来てくれ。そうすりゃもっとうまいワインが飲めるぞ」と。平和こそが最良の味の決め手-。
(中島健二)