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ニューヨーク つかみOK後も期待

2008年11月12日

 「その機械、日本製じゃないよね?」

 先月下旬、首相就任ほやほやの麻生太郎氏が国連総会で演説した時のハプニング。機械の故障で英語の通訳が放送されず、途中でやり直しとなった。その時に出た首相のとっさのひと言。あくびの目立っていた議場に、どっと笑いが起きた。

 毎年、世界の首脳陣が一堂に会する国連総会の一般討論演説。初日は米仏、イラン、グルジアなど何かと話題の大統領が集結し、数百席の臨時記者席も超満員。が、演説も3日目の夕方となると注目度はガタ落ちに。麻生首相の出番は80カ国以上が演説した後で、記者もまばらだった。

 国連は世界中の言葉や意見が常に飛び交うが、相手に届かない言葉も多い。特に日本は多数相手のマルチ外交が苦手と言われる。場の雰囲気を一つのジョークで変えた首相の演説は、再開時に異例の拍手で迎えられた。とりあえず、つかみはOK。願わくは、日本の存在感がその後も続くことを。 (加藤美喜)