2008年12月04日
小さな港町は、朗報に沸き返っていた。米北東部マサチューセッツ州のウッズホール。この町にある世界有数の海洋生物学研究所で長年研究員を務めた下村脩さんがノーベル化学賞を受賞した。シカゴ大学の南部陽一郎さんの物理学賞受賞に続く、連日の素晴らしい知らせだった。
ボストンから車で約2時間。大西洋の香りとともに見えてきた研究所は、報道陣の車でいっぱい。職員はみな親切で、下村さんも「ありがとうございまーす」と、長時間の拘束に嫌な顔一つせず取材に応じてくれた。
研究所の目の前には美しい海が広がり、ヨットが波間を行き交っていた。一方で車で数分のご自宅は静かな森の中にあり、その対照が印象的だった。
「今日はいい日だから、部屋も半額にしたわ」と、宿の女性。人々も優しく笑顔に満ちていた。小さくて、すてきな港町。研究所前ですかさず一斉に切られた駐車違反切符のことは、すぐに忘れた。
(加藤美喜)