2008年12月11日

　米大統領選挙の取材に中西部オハイオ州のデイトンなど地方都市を駆け足で回った。民主党オバマ候補にとって苦手な州の一つ。理由は「人種偏見」「都会嫌い」と聞いていたが、なかなかのものだった。

　「おれはベトナム（戦争）帰りだ」と言うなり名刺を突き返す男性。最初はにこやかに答えていた女性も「なんだ、ニューヨークから来たの」と、つれない態度に。

　取材に応じてくれた人も「近所の人種偏見は強い」と漏らす。「オバマ氏優位」の世論調査にも、妹が調査を受けたという女性は「無理に答えを聞いてくる。あてにならない」と切り捨てた。

　ただ米軍経験者が多く、外国に親しみを感じる人も多い。「今日はうちで夕飯を食っていけ」とお誘いもあり、豆料理のうまさにこの州の奥深さを知った。州民はどんな選択をするのか、興味が膨らんだ。

　（阿部伸哉）