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モスクワ 庶犬に市民権・定期券

2009年01月09日

 先日、モスクワ市内で地下鉄に乗ったら、日本でいうシルバーシートを占領して犬が寝っころがっていた。

 卑しい人間をイヌと呼ぶこともあるが、この場合は文字通りの犬である。辺りに飼い主はおらず、ある駅に着くと当たり前のように、すっと降りていった。

 ロシアで犬は最も人気のあるペットだ。その分、捨て犬も多く、一説によると、モスクワの地下鉄にも500匹ほどがすみ着いているという。中には電車を使ってエサ探しに出掛ける犬もいて、ちゃんとすむ駅まで戻ってくるそうだ。

 プーチン首相の愛犬の首輪は衛星利用測位システム(GPS)付きだが、捨て犬には迷っても捜してくれる飼い主はいない。生きるため必死で身に付けた知恵だろう。

 犬を捨てる理由のトップは経済的負担だといわれる。ご多分に漏れず、金融不況が進むロシア。庶民に、いや「庶犬」にとって厳しい冬が間もなくやってくる。

 (酒井和人)