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バンコク “おしどり”離婚の真相

2009年01月28日

 混迷が続くタイ政局の主役、タクシン元首相が32年連れ添ったポチャマン夫人と電撃離婚した。2月の凱旋(がいせん)帰国から一転、8月に再び国外逃亡を余儀なくされ、汚職罪で実刑判決を受けた揚げ句に、生活拠点の英国から査証を取り消された末の選択だった。

 もっとも、破局に至った真相は闇の中だ。

 元首相は「政敵との戦いに専念するため」と側近に語ったが、離縁によって夫人名義の資産約80億バーツ(約220億円)を確保する「偽装離婚」説が浮上。元首相と反目する王党派筋からは「国民の同情を買う作戦」と政略説も飛び交う。

 夫人が政治と距離を置きたがっていたとの見方もあるが、短気で知られる元首相は「妻は私の(欠点を映し出す)鏡だ」と夫人のパートナーぶりや才覚を高く評価してきた。

 よくある、愛憎の果てに、という話ではなさそうだ。政界復帰に退路を断ったかのようにもみえる元首相の反攻が不気味だ。 (林浩樹)