2009年01月26日
英王室ゆかりの街、ロンドンのウェストミンスターを歩いていると、白い募金箱を抱えた上品そうな女性と目が合った。枯れ葉の舞う季節、日本と重なる街角の光景だ。
小銭入れから一ポンド(約百四十円)硬貨を数枚取り出そうとすると、近づいてきた女性は「紙幣しか受け付けません」と言う。募金の案内チラシを見ると「難病の子どもたちの治療費に」。はて目標額が高いのだろうか。
十ポンド紙幣一枚を募金箱に入れて考えた。英国では慈善団体やボランティア組織が大きな役割を果たしているという。福祉、芸術、貧困問題など支援先はきめ細かい。「政府の福祉施策はチャリティー頼み」と批判が出るほどだ。
信号を渡った先に白い募金箱を持つ別の女性がいた。もう紙幣がないと言うと「硬貨でOK」。見渡せば外国人や観光客だけに声がかかっているような-。小さな募金、本当に必要な人に届いただろうか。
(松井学)