2009年02月05日
ロンドンのトラファルガー広場に面した絵画専門の美術館。ギャラリーの床に10数人の小学生たちが座り、学芸員らの話が始まる。居合わせた大人の見学者も聞き耳を立てている。
「この絵が好きな人は」「村の風景の中に鳥は何匹見つかるかな」
期待した美術の解説ではなく、どちらかといえばお絵描きの延長のようだ。子どもたちはよく反応し、「この花は黄色じゃなくて、私だったら赤く塗る」と言って先生を黙らせる女の子もいた。
子どもたちが無名の絵に夢中になっている隣ではルーベンスやフェルメール、モネといった画家の絵が見向きもされずに壁に掛かっている。「もったいない」と思うけど、名画の肩書にとらわれない教え方なのだろうか。
市内の国立美術館は特別展以外は無料という制度が、こんな授業を支えている。
(松井学)