2009年03月17日
「アキオ・モリタを尊敬しています」
グルジアの首都トビリシにあるホテルのロビー。取材していたグルジア有数の建設会社の女性社長が突然、日本人の名を口にした。
世界中の経営者の著書を読んだが、その中でもっとも感銘を受けたのがソニー創業者の一人、故盛田昭夫氏だという。「会社は家族。人を大事にするという企業理念にショックを受けた」と社長。
グルジアはここ数年、米国型グローバリズムの波に乗って経済成長を果たしてきたが、社長は「競争で弱者が切り捨てられた面もある」と分析する。
盛田氏が競争を否定していたとは思わないが根底に「人が大事」との理念があったのはその通りだろう。
ただ、社長はそのソニーが昨年暮れ、1万6千人もの人員削減策を打ち出したことは知らないようだった。
「社員といっしょに豊かになりたい」。社長の笑顔を目にしたら、あえて教える気にはなれなかった。
(酒井和人)