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マニラ 気遣い無用の?底力

2009年07月14日

 マニラから車で数時間の山中で、山岳民族アエタ族のおじいさんに、竹を使って火をおこす方法を教えてもらった。材料はナタと竹一本だけ。わずか5分ほどで、めらめらと炎が上がった。猿の捕まえ方も習う。「猿、食べるんですか」と聞くと「おいしいんだよ」と笑われた。

 おじいさんは山中をひょいひょいとはだしで歩いていく。「格好いいなあ」と思うが、気になるのは、ぼろぼろになった「西武ライオンズ」のTシャツを着ていること。

 アエタ族は、1991年のピナトゥボ火山噴火で大きな被害を受けた。山中での伝統的な暮らしが破壊され、ふもとの暮らしになじめず苦しんできた人も多いと聞く。

 多くの支援活動も行われた。おじいさんも被災して、日本から贈られたTシャツで暮らしてきたのかもしれない-と思ったが、何となく聞くことができなかった。 (吉枝道生)