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シカゴ 雪も利権も積もる地

2009年05月08日

 雪と氷に閉ざされた冬のシカゴだが、街中は意外に歩きやすい。ほぼ50メートルおきに雪かきの人がいる。「そりゃ、市は雪かきにひと月800万ドル(約7億2000万円)かけてるんだから」と取材で知り合った地元記者はまゆをひそめた。「市議会議員の業者利権だから額が減らないんです」

 オバマ新大統領の地元シカゴは、地区の政治ボスが票をまとめ、政治家や行政に公共事業や職のあっせんを求める「マシン政治」で有名。住民は「大統領は知らなくても市議は知らなくてはいけない」という。

 利権政治の行き着く先は行政の拡大。シカゴ市の売上税は、全米主要都市最高の10・25%。2016年夏季五輪開催を東京と競うが、地元記者は「開発利権主導ですよ」と冷ややかだ。

 「市議が50人と多すぎる」のも問題らしいが、シカゴより人口が少ない名古屋市では75人。日本と似た政治風土を持つオバマ氏の街に、妙な親近感を覚えた。 (阿部伸哉)