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北京 汚職には幕下ろして

2009年03月28日

 日本映画の巨匠黒沢明ファンという中国人の彼は、大学で専門に学ぶことを夢見て、毎日朝6時から深夜2時まで机に向かった。

 迎えた入試。一次、二次試験に続き、最終面接もパス。入学を待つだけになった時、大学側から父親に「合格証がほしければ12万元(約170万円)を持ってくるように」と連絡があった。父親の月収は8千元(約11万円)。実に15倍もの“わいろ”を支払うことができず、泣く泣く進学を断念した。

 逆に、一次試験で落ちた彼のクラスメートは、なぜか最終面接に現れ合格。彼がただすと「親が金を払ってくれた」。

 おさまらない彼の母親は、一次試験の発表の張り出しを撮影した写真を当局に送り、不正を訴えた。が、なしのつぶてという。

 今月開かれた日本の国会にあたる全国人民代表大会。昨年汚職で起訴された公務員は3万人に上ったと報告されたが、“氷山”は、ずっと巨大なようで。

 (朝田憲祐)