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ベルリン 丑年でも『亥』増殖中

2009年03月29日

 首都がイノシシの大群に乗っ取られる、とでも言いたげな見出しが日刊紙で躍っていた。緑の多いベルリンだが、ここ数年は中心部にも迫り来る勢いで増えている。

 現在約1万頭。昨年に比べなんと3000頭も増えたというから驚きだ。増殖の理由はエサになるごみ。都市部では、ピザ、肉、野菜…と、メニュー豊富なごみ箱がレストラン代わりになっているらしい。栄養満点で成長が早くなり、出産できる年齢が3歳から1歳まで下がってサイクルも加速しているというのが狩猟専門家の見方だ。

 例年、自動車との衝突も起きる。体重200キロまで成長するので近づくのは危険だ。ドイツ人の友人は同市西部グリューネバルトの森をジョギングするが「子連れの雌に出くわしたら恐怖で逃げ出す」という。「駆除」の射殺も今年は3000頭にも上りそうだという。今月末には出産期がやってくる。

 (弓削雅人)