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モスクワ 努力実るも偽物では

2009年06月30日

 モスクワでも、徐々に春の兆しが漂い始めた。そうするとそわそわするのが、郊外に菜園付き別荘(ダーチャ)を持つ市民。

 このところは、おしゃれな花の栽培が人気の主流だったが、経済危機の今年は家計を助けるために野菜栽培を考える人が急増した。業者によると、野菜種の売り上げは昨年比4倍まで伸びているという。

 だがこの国では、もうけ話には犯罪めいた企(たくら)みがつきまといがちだ。農業省の調査では店頭の種の3割が偽物。例えば1袋800ルーブル(約2300円)のイチゴは「リンゴのような大きな実」がなるとの触れ込み。このほか「収穫が数年間続くニンジン」「イチゴ味のサラダ菜」「香辛料の香りがするトマト」など、まゆつば物は際限がない。

 地元紙によれば、その“偽種”が飛ぶような売れゆき。野菜のことをよく知らない市民が本気に面白がって買っていくのだとか。果たして何が実ることやら。

 (中島健二)