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ローマ “永遠”を震わす予測

2009年05月07日

 ベッドが左右に大きく揺れた。地震だ。4月6日の真夜中。震源地はローマから100キロほど内陸に入ったラクイラ市近郊だと、ラジオが伝えている。アペニン山脈の高原にある中世都市の面影が脳裏に浮かぶ。13世紀以来の石造りの街が崩壊しているのだ。

 明け方、アパートの管理人が、近所の19世紀の建物にも深く長い亀裂が入ったと顔を曇らせた。6階建ての建物は早速「使用不能」と張り紙された。わがコンドミニアムも資材の不足していた大戦中の建築だから、ひとごとではない。

 21日が2762回目の「誕生日」だった「永遠の都」ローマ。見上げんばかりの古代の石造大建築物は一見不動のようだが、5世紀にコロシアムや聖堂が地震で大きな損傷を被った記録などもあり、500年に1度は震度7の地震がローマを襲うとの予測もある。だが、春真っ盛りの街角には、観光客の屈託のない笑顔があふれている。 (佐藤康夫)