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シンシナティ 当地では大活躍の豚

2009年08月27日

 政治家が地元での人気取りのため政府から強引に予算を分捕る「ばらまき」政治を米国では「ポーク・バレル」(豚のたる)という。南北戦争前、奴隷を働かせるため報酬として豚の薫製を与えたのが由来とされる。

 「ポーク」取材でオハイオ州シンシナティ市近郊を訪ねた。予算の対象は、国防総省が「不要」とする戦闘機エンジン。だが開発を続ける大手企業は、歳入、雇用面で地元に大きく貢献。同州はライト兄弟の古里で、近くにはその名にちなんだ空軍基地もある。地元商工会議所の幹部は「開発中止は国の安全保障の根幹にもかかわる」と、国を支える自負さえのぞかせた。

 「無駄」のひと言では片付けられない「ポーク」の是非を考えさせられた帰途、空港で「空飛ぶ豚」の巨大な彫刻が目に入った。この地域では豚の食肉加工が伝統産業で市のシンボルだという。英語で「豚が空を飛ぶ」は「ありえない」という意味。できすぎた話だ。 (岩田仲弘)