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ナッシュビル 理念貫く姿勢に心酔

2009年09月01日

 米テネシー州ナッシュビルのベルモント大学で昨秋行われた大統領候補討論会で、ある女子学生から「ドライキャンパス」という聞き慣れない英語を耳にした。「キャンパス内の飲酒はご法度」という意味だという。

 キリスト教の厳しい教育で知られる同大は約60年間、「ドライ」を貫いてきたが、史上初めて同州で行われる討論会のホストという栄誉に浴した結果、当日限りで酒食を提供することを決めた。ただし報道陣限定。学生諸君には申し訳ないなあと思ったものだ。

 同大の「英断」は当時話題となったが、オバマ大統領も最近、大学の英断に直面した。

 アリゾナ州立大は卒業式に来賓として招待したものの「まだ実績がない」と名誉学位授与を見送った。一方、カトリック系のノートルダム大は「妊娠中絶容認など許さない」との保守派の圧力をはねのけ学位を授与。譲れるところもあれば譲れない一線もある。大学の「意地」を見た。 (岩田仲弘)