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香港 それでも支持率50%

2009年09月15日

 香港の若者の関心は何に向いているのか。「カネですよ」と香港大学の学生は即答した。若者に限らず、市民の関心事は生活。天安門事件の記憶も風化する一方かと思ったが、20周年の今年はさすがに関心が高くデモに8000人、追悼集会には15万人が集まった。

 「香港は自由だが、民主主義だったことは一度もない」と香港人の知人は言う。植民地時代は、英国人の総督が統治した。中国返還後は、トップの行政長官を業界別代表による投票で選ぶが、親中派の人物しか選ばれない仕組みになっている。

 「曲がりなりにも長官は香港人だから以前よりはましだけど、やはり直接選べないのはおかしい」と市民が思うのは当然だ。

 現在の長官は曽蔭権氏。選挙の洗礼を受けていないからか、行政にあたり、市民の反応を非常に気にしている。たまに失言するものの、支持率は50%前後。あれ、民主主義の日本の方が支持率が低いのはなぜだ。 (小坂井文彦)