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アユタヤ 客寄せではなく象徴

2009年09月18日

 タイを代表する動物と言えば、かつて国旗の図柄にもなっていたゾウ。バンコクの夜の繁華街でもよく見かける。観光客のチップ目当てに連れ回されているのだが、けばけばしいネオンの下、黒っぽい巨体がアスファルト上をのっしのっしと歩く姿はもの悲しい。

 そのゾウが先日、体全体を黒白の絵の具で塗られメディアに登場した。地元英字紙一面の見出しは「タイのゾウは愚痴をこぼさず我慢しなければならない-」。

 タイでは今、北部の動物園で誕生したパンダの赤ちゃんが国民のアイドル。メディアは一挙手一投足を連日大きく取り上げ、動物園は命名キャンペーンを展開。政府も快適で豪華な住まい「スノー・ドーム」を近く提供する。このフィーバーぶりを皮肉って中部アユタヤのゾウ園が七頭の“白黒象”を世に出した。

 タイのゾウは減少傾向で現在約5千頭。ゾウ園関係者は「中国産よりタイの象徴を大事にしてほしい」と愚痴っている。 (林浩樹)