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桂林 情の濃さに酔わされ

2009年09月16日

 平地から山々が突き出る光景が延々と続く桂林。山水画そのままの農村で取材を終え、地元住民らと夕食を囲んだ。

 ニワトリの肉とサトイモを中華鍋で煮込む名物料理。ショウガや八角の味付けが実にうまい。住民の呉さんは「もっと食べて。白酒(焼酎)を飲もう」と次々勧める。私が20度の白酒を頼むと「そんなのは酒じゃない」と52度を注文。乾杯を繰り返した。

 仕上げのうどんを食べる時は、別の住民が“鍋奉行”となり「めんは煮込みすぎてはだめ。よし、今だ。すぐ食べて」と世話してくれた。

 いい気分で店を出た後、かばんを忘れたと気付く。しかもファスナーを開けて大金が見えたまま。すると店の女性がかばんを持って走ってきた。「お金が丸見え。気を付けないと危ないよ」

 一瞬「盗まれるかも」と思った自分を恥じた。桂林は世話好きばかりの街らしい。 (平岩勇司)