2009年09月19日
7月1日午前零時、モスクワ市内のホテルにあるカジノ。いつもは富裕層の客でごった返すフロアが閑散としていた。ルーレットやスロットマシンはテープで封印され、スタッフたちが声を張り上げて「10、9、8…」とカウントダウン。ロシアではこの瞬間、カジノ禁止の法律が発効した。
3年前、当時大統領のプーチン首相が提唱し議会で法案が可決されていた。極東など4カ所に例外特区を設けて営業を認めるが、事実上の全面禁止。ソ連崩壊後、カジノは国内に急速に広がり一大産業とも化していただけに、今回、約40万人もの失業が予想されるなど波紋も広がりそうだ。
といっても今やギャンブルは、ウオツカとともに、生活破綻(はたん)をもたらす代表格。そのウオツカは過去、規制しても化粧水のアルコールを代用にするなど抜け道が堂々と横行してきた。カジノ禁止も結局はヤミの賭博を増やすだけ-との見方も、あながち外れてはいないかも。 (中島健二)