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ティティカカ湖 天空の湖を支える葦

2009年10月24日

 ペルー南部にある南米最大の湖・ティティカカ湖。海抜は約3850メートルで富士山より高く、空気の薄さにゼエゼエ息が切れる。ツアー旅行で訪れたのだが、参加者の多くが頭痛や吐き気などの高山症状に悩まされ、私も朝起きたらいきなり鼻血が出て参った。

 しかし、湖面から昇る朝日の美しさや、湖に浮かぶウロス島の人々の笑顔は格別だ。ウロス島は、トトラという葦(あし)を積み重ねて作った不思議な浮島。島では家や舟もトトラ製だし、家畜の餌や燃料もトトラ。風邪の時はおでこに張って熱冷ましにし、おなかがすいたらおやつにも。白い実はサクサクとしてほんのり甘く、おいしい。

 そしてもう一つ、トトラの重要な役目を、島の少女たちが教えてくれた。「デートもトトラの中でするのよ」と。大人たちに見つからないよう、小舟をこいで背の高いトトラの中で恋人と会うのだそう。何とも万能な植物よ。アンデスの豊かな湖の恵みに感心した。

 (加藤美喜)