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ゴリ 客観性も狂わす惨禍

2009年11月18日

 グルジア紛争の勃発(ぼっぱつ)1年の取材で先月、グルジアの主要都市ゴリを訪れた。クラスター(集束)爆弾の被害にあった少年がいると聞き、自宅を訪ねたら、やはり取材に来ていた地元テレビ局のスタッフとかち合った。

 クラスター爆弾はロシア、グルジア双方が使ったが、少年を傷つけたとされる爆弾がどちらのものかは分からない。参考にと、女性リポーターに意見を求めたら、顔色がサッと変わった。

 「ロシアに決まってるでしょ。グルジアはそんな爆弾は持ってない」。グルジアが保有、使用したことは政府の閣僚からも直接聞いた事実なのだが、そう伝えても女性は「うそだ」と譲らない。あげく「ロシアの声ばかり取材しているからだ」と怒られた。

 異なる意見に耳を傾けるのは記者の基本。思い込みがいかに危険か、女性の早口の説教に耳を傾けながら、あらためてかみしめた。 (酒井和人)