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ウルムチ 少しずつ届け 民の心

2009年10月30日

 7月5日の大規模暴動に続き、またデモが発生したウルムチ。交通封鎖されたウイグル族の居住区は、手持ちぶさたの市民たちが歩道にたたずんでいた。

 同地区のショッピングプラザでじゅうたん店を営む男性は、「閉鎖されて商売ができない」と浮かない顔。「生活は」と聞くと「長く続くと食べていけない」と、近くで監視する武装警察や監視員に聞こえないよう小声で、不満をぶちまける。補償はもちろんない。

 インターネットや携帯メールは遮断。新聞には「社会の安定が第一」など説教くさい文章が並ぶ。交通規制の理由がQ&A形式でわかりやすく載っていたが、要は規制の正当性を言い立てるだけだ。言論の自由はない。

 しかし、今回はデモで市書記や公安部門トップが解任された。中国では異例だ。死傷者を出す暴動は慎むべきだが、不満を爆発させるだけでなく、言論の自由の有効性に気付く市民がこれからも増えそうだ。 (安藤淳)