2009年11月17日
インドネシア・スマトラ島沖地震の直撃を受けたパダン。停電と断水の続くホテルの寂しい夜を慰めてくれたのは、優しいインドネシア人たちだった。
話し相手を務めてくれたのは、隣室の銀行役員。支店が倒壊し、首都ジャカルタから飛んできた。ホテルでは英語を話せる唯一の同国人だったため、通訳を買って出たりと何かと気に掛けてくれた。にぎやかに遊びに来るのは、ホテル前の倒壊したビルで活動を続ける応援の警察官たち。質問は「今、日本にはどのくらいサムライがいるか」だった。
昼間に通訳を頼んだ地元の女性も忘れられない。夜遅くバイクで現れ「きょう一日食事してないでしょ」と、紙に包んだご飯と水をくれた。被災者から食事をもらうなんて-と思いながらもおいしく食べた。誰もが優しく、助け合っていた。
厳しい状況の中で、助け合いは今も続いているだろう。政府によれば、確認された死者は千人を優に超えている。 (吉枝道生)