2009年11月23日
モスクワの年配女性が10月上旬のロシア統一地方選で、投票所事務員に雇われた。1日の投票を見届けて投票箱を開けると、中に不自然な投票用紙の束。全部で50枚。すべてに巨大与党名が記入されていた。選管幹部に伝えたが、だれも不審な表情すらせず、束を解かれた用紙は集計器に-。
今回の統一選は、共産党などが不正を問題として下院本会議を退席し、大騒ぎに。投票をめぐる不正が連日メディアをにぎわせた。野党党首が自党に投票したのに、公表結果はゼロだった選挙区も。
だが市民に言わせれば、選挙不正はロシアの常。今後もなくならない。野党などから苦情を受けたメドベージェフ大統領も「選挙は有効」と言ってのけた。
先日、ある大物政治家の不正疑惑を本当と思うか-と聞いた世論調査で「本当」との回答が75%に達した。だが同時期の別の調査では、この人物の支持率は65%に上った。何を信じればいいのか、この国は。
(中島健二)