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釜山 後遺症を残した惨事

2009年12月21日

 韓国南部・釜山の室内射撃場で日本人観光客ら16人が死傷した火災は、日韓両国の死傷者の治療費などを誰が負担するのかが大きな課題になっている。

 病院は韓国人遺族に入院費などを請求。日本人遺族にも入院日数に応じて請求し、中には約1500万円の支払いを求めた例もあった。遺体引き渡しの条件として公的機関の保証が要求され、長崎県雲仙市が文書を作成することで病院は納得したという。

 観光会社加入の旅行保険で死亡補償金2500万円が支払われるが、個人の支払いを行政が保証するのは異例だ。入院中の日本人男性は保険の限度額を超える可能性が高く、退院の際に病院がまた公的保証を求めるかもしれない。

 釜山市は日本人遺族の滞在費や渡航費用を負担した。李明博(イミョンバク)大統領が隣国への配慮を指示したこともあり「破格の扱い」(釜山総領事館関係者)は事実。惨事は、遺族の悲しみとは別の厳しい後遺症を残したままだ。 (築山英司)