2009年12月28日
「本当はグルジアはあまり好きじゃない。早く帰りたいよ」
先日、トビリシの英国式パブで、たまたま隣に座った米国人男性がつぶやいた。36歳、独身。石油関連会社の技術者で、トビリシに赴任して3年目だという。帰国して“婚活”に励みたいらしいが、この国に対する米国の本音と重なる気がして少々、複雑な思いがした。
昨年八月のグルジア紛争は、グルジア現政権が親米に偏り、ロシアとの対立を深めたことが背景にある。紛争後もグルジアの親米姿勢に変わりはないが、ロシアとの「リセット」を打ち出したオバマ米政権は、グルジアとの関係に一定の距離を置き始めたようにみえる。
自身の利益のため、米国はグルジアを「好き」なふりをしてきただけじゃないのか。その男性に意見を求めたら、「それが政治でしょ」とあっさり。政治と恋愛は別物だが、彼の婚期はきっと遅れるだろうと思った。 (酒井和人)