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南京 『文明』の違い 再発見

2010年01月29日

 旧日本軍による南京占領から72年。追悼のための灯籠(とうろう)流し前に、来賓を集めた食事会があった。参加した日本人男性がトイレに立ち、妙な掲示を見たという。

 「文明」は中国語で「マナー」。床が汚れないように1歩前に出て、という意味と説明すると納得した。日中ともに同じ漢字で記した単語でも、意味が異なり、誤解を招くケースも多い。

 漢字だけではない。日中間では、文化的にもよく似た部分がある一方、習慣の細かい部分では食い違いがある。だから、余計に双方がいら立ちを感じてしまう。

 うたげがなかなか終わらない。灯籠流しに遅刻するのは確実だ。外は雨で、参加する小学生が待つ。日本側はハラハラし、中国側は老酒で乾杯を続ける。「遠方の客。楽しからずや」。もてなしが大切という。これも文化の違いか。いや、ただ飲みたいだけなのだろう。 (小坂井文彦)