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パリ 甘くない王様への道

2010年01月22日

 フランスの新年にはガレットデロワ(王様たちのケーキ)が欠かせない。アーモンドクリームを詰めた茶色い円盤状の焼き菓子。賢者や日用品の小さな像がひとつ埋め込まれていて、紙の王冠がおまけに付いている。切り分けて食べる時に像が当たった人は王冠をかぶり、その場の王様になれるという趣向だ。

 直径25センチの5、6人前用をスーパーで買うと、3ユーロ(約400円)。超高級店ならその10倍以上の価格だが、どこも行列ができる。

 昨年秋に夫が失業した40代のフランス人女性が苦笑いした。「食事にお金をかけられないからケーキぐらいは思い切ってぜいたくするのよ」

 パリジャン紙によれば、不景気でこの国の飲食業者の店じまいが相次ぐ中、超高級とランク付けされる菓子店だけは、パリ市内でこの2年間に20軒以上増えたとか。

 どこも甘くない。 (清水俊郎)