2010年02月08日
人口1万2千人の街で、何と8千人が解雇対象に。身構えて取材に行くと、街の通りは整然としており、いい意味で拍子抜けした。
米中西部オハイオ州の街ウィルミントン。ドイツの物流大手が拠点を構えていたが、一昨年秋に撤退を決定。住民は「まさか自分のところが」とぼうぜん自失だったという。3%ほどだった失業率は、1年で15%に跳ね上がった。
それでも失業者が通りにあふれ出ていないのは、他地域からの通勤者が多いせいもあるが、地域の助け合いが根強いからだろう。
地元の30の教会が布教のライバル心を抑えて炊き出しに協力。利用者は2倍以上になったが、食料の寄付もボランティアも増える一方だという。地元大学もキャンパスを畑作に開放している。
炊き出しの主宰者は「役所は『人助け』にも指図してくるから」と公的支援をきっぱり拒否。地域社会は自分たちで守るという米国人の心意気を感じた。 (阿部伸哉)