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コタキナバル 国境・国籍超え生活

2010年02月12日

 「タガログ語(フィリピン語)が通じるよ」と言われて向かったマレーシア・ボルネオ島のサバ州コタキナバル。州内に住むフィリピン人は30万人ともいわれる。

 店員やタクシー運転手にタガログ語で話し掛けると、みな「フィリピンから来たの?」と目を輝かせる。近くのミンダナオ島などから渡ってきたフィリピン人たちだ。彼らにとって、コタキナバルはマニラより近い「お隣」であり、国境は大きな意味を持たない。

 ある飲食店員は「一度ふるさとに帰りたい」と嘆く。「お金がたまったら帰るの?」と聞くと「いや、まあ…」と言葉を濁す。不法移民で、ビザの問題があるらしい。

 実際、何人のフィリピン人がいるのだろう。マレーシアの比大使館に聞いてみると「そんなのだれにも分かりません。山の中にも大勢いるし、勝手に行ったり来たりしてるし」と笑われた。(吉枝道生)