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ディアボーン 歴史観の差 運ぶバス

2010年03月01日

 米東北部ミシガン州ディアボーンのヘンリー・フォード博物館にぽつりと1台のバスが展示されている。かつては南部アラバマ州を走っていた市バス。何の飾り気もないが、実は米国史を揺るがす事件が起きた場所だ。

 1955年、ローザ・パークスという黒人女性が「前方の席は白人専用」という州法に挑み白人に席を譲るのを拒否、逮捕された。これが地元黒人たちの大抗議行動に発展し、公民権運動があっという間に広がった。

 このバスがなぜミシガン州に。「南部では価値が見いだされなかったから」と博物館のガイドが説明した。

 バスは現役引退後、アラバマ州の白人男性に払い下げられ、長らく物置として使われていた。だが全米各地の博物館がバスの車両登録番号から所有者を割り出し、2001年に競売され、フォード博物館が競り落とした。

 落札価格は50万ドル(約4500万円)だったとか。南北の歴史観の差を感じた。

  (阿部伸哉)