2010年03月12日

　先日、投票があったウクライナの大統領選で、今月７日の決選投票に進んだヤヌコビッチ前首相とティモシェンコ首相に共通していたのがキエフの豪華なプレスセンターだ。

　それぞれの陣営が投票日に高級ホテルのワンフロアを借り切り、会見場を設置。報道陣のためにサンドイッチなどの軽食やワイン、シャンパンなどのアルコール類も振る舞われた。前首相陣営では、パソコンや無料の国際電話を備えたワーキングルームまである充実ぶりだった。

　心遣いには感謝するがウクライナは世界金融危機の直撃を浴び、不況の真っただ中。ホテル近くの教会では、寒空の下、施しを請うお年寄りらが門前に列を成している。ふかふかのソファで会見を待っていても、居心地はよろしくない。

　決選投票へ向け選挙戦で目立つのはネタにしづらい中傷合戦。報道陣への心遣いなら、建設的な政策論争を繰り広げてくれた方がありがたい。

　（酒井和人）