2010年03月23日
フランス国立リヨン歌劇場でオペラ「マノン・レスコー」を観賞した。タクトを振るのは、一昨年からこの劇場の管弦楽団の首席指揮者を務める大野和士さん(49)。ポスト小沢征爾さん(74)とも評される達人だ。
幕が下りた後、音楽専門誌の記者たちと一緒に大野さんを囲む機会があった。歌手の調子は? 曲の解釈は? 大野さんはすべての質問に丁寧に答えてから初対面の私の名刺をしげしげと眺め、突然歌い始めた。
一番高木が塁に出て 二番谷木が送りバント…1970年代の中日ドラゴンズの応援歌だ。私の日本の自宅が名古屋と知り、さらに続けた。
「東京で指揮の修業をしていた若いころ、初めてタクトを振らせてくれたのが名工大と愛知学院大と南山大のオーケストラだったんですよ」
公演は満員。クラシック音楽になじみの薄い若者にも人気の劇場として知られる。 (清水俊郎)