2010年04月05日
「上海人って、ほかの中国人を見下してるんでしょ」-広東省広州で上海の知人と一緒にタクシーに乗っていたら、運転手が尋ねてきた。人にズケズケと尋ねはするが、中国人がけんかに発展しかねないストレートな質問をするのは珍しい。
「以前はそうかもしれないが今は違う」と案の定、知人はおかんむり。中国は広く、民族もさまざまだから気質が相当に異なるが、周りが勝手に相手の印象を決め付けるケースも少なくない。
運転手は寧夏回族自治区の出身だった。春節(旧正月)の鉄道切符を買えなかったので、故郷まで二千数百キロ、30数時間、車で一人で運転して帰るという。
知人が逆襲に出た。「寧夏の食堂ではイスラム教徒なのに回族が皆で酒を飲んでた」。運転手は「いや、そうでも…」と口ごもる。「帰郷の道中では、飲酒運転はしないよね」と声をかけて場を収めた。(小坂井文彦)