2010年05月06日
ベトナム戦争中のヒッピーと反戦運動を描いたブロードウェーミュージカル「ヘアー」。先日、舞台裏をのぞく機会を得た。
過激な演出で知られる本作。俳優の大胆な演技は、実際に薬物を使っているのではと思えるほどで、心底ドキドキした。
しかし、舞台後に普段着で現れた俳優たちは、打って変わって物静かな人ばかり。「一番苦労することは」の問いに、主役の男性はまさに「テンションの高さを保つこと」と返答。「毎日全力で演じるのは本当に大変。でも観客に『この人疲れている』とは絶対に思われたくない」と明かし、「観客の感動が一番の栄養剤。僕らは作品の持つ力を信じている」と熱く答えた。
1968年に初演され、強い反戦の思いが込められた舞台は、現在もイラクなど「二つの戦争」を抱える米国で色あせぬメッセージを発する。若手俳優たちの全身全霊の演技に圧倒され、しばらく余韻にひたった。
(加藤美喜)