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ロンドン 両手に余るマナー術

2010年05月13日

 英国人と食事をしていて話題が米国に及ぶと、よく出るのが、米国流マナーへの憤懣(ふんまん)だ。

 彼ら曰(いわ)く「米国人の何が嫌かって、ステーキでも何でも最初にさっさと刻み、後はフォークを右手に食べることだ」。

 右手にナイフ、左手にフォークを持って最初に肉を一口大に切り分けてしまい、フォークを右手に持ち替えて食べる。それが英国人は許せない。「僕もよくやるよ」と言い出せないほど、彼らの嫌悪感は露(あら)わだ。

 そんな話をしながら食事をしていたら、オランダ出身の同僚が「オランダではボートを漕(こ)ぐようにするのが礼儀に適(かな)いません」と言ったので、英国人同僚ともども驚いた。

 皿の両端にフォークやナイフをハの字に置くと確かにボートのオールに見える。あの置き方が、いけないらしい。郷に入っては郷に従え。英国では左手をきちんと使い、オランダではボートを漕ぐな、です。 (星浩)