2010年06月01日
米ケンタッキー州のルイビル空港から高速道路を走ること約40分。レキシントンにさしかかると、道路脇に洋菓子ミルフィーユのように層を重ねた岩が現れた。
地元住民によると、この岩は「ライムストーン」と呼ばれる石灰岩。灰色と黒の層に分かれた岩が、同州一帯に広がっているのだという。
石灰層を通った雨は、カルシウムやほかのミネラル分を豊富に含んだ地下水に“変身”する。この地下水で育った牧草にも、カルシウムなどが豊富に含まれている。
ケンタッキーがサラブレッドの名産地になったのも、この岩のおかげだ。カルシウムが豊富な草を食べることで、骨が丈夫ないい馬が育っている。石灰層を通った水は、同州名産のバーボン造りにも最適だ。
高速道路脇の牧場では、馬がもくもくと牧草を食べていた。その姿に、文化・経済と大地の結びつきの強さをあらためて教えられた。
(古川雅和)