2010年06月03日
数日間の停電、携帯電話も不通、お湯も出ない-。インフラ整備が遅れた田舎町ではない。世界経済の中枢、ニューヨーク近郊での話だ。
先日、日本の台風を思わせる春の嵐が襲った。そうそう強風は吹かない地域なので、郊外に茂る巨木は次々と倒れ、あちこちで電線を寸断した。わが家も、なぜか嵐の2日後に何の連絡もなく送電を切られた。
「いつ電気は通るのか」と、切れた電線を見張っていた警察官に尋ねたが、「電気会社はおれたちの電話にも出てくれない」と肩をすぼめた。
それでも近所に慌てた様子はなく、夜になると、ろうそくの火が家々の窓にちらついた。「ガスオーブンで暖を取ればいい」などと、みんな手慣れた様子で行動している。
支局でテレビを見ると「全面復旧は2日後か」と、特に復旧の遅れを批判することもない。普段はせかせか動くのに。ニューヨークのペースはつかみきれない。
(阿部伸哉)