2010年06月15日
台湾の桜は既に散ったが、こちらの人たちも相当に花見好きだ。ただ、行政院(内閣)観光局によると、花見が一般的に盛んになったのは、ここ10年ほどのことだという。
台湾では戦後、国民党独裁下で1987年まで戒厳令が敷かれた。その後、民主化が進展。政府も観光行政に力を注ぎ、2001年に導入された週休2日制が定着するにつれて人々が野や山へ行く機会が増えた。
さらに、日本の影響も大きいそうだ。日本への旅行や、媒体の情報提供によって桜見物の様子が知れ渡り、「台湾にも桜はあるじゃないか」ということで広く浸透していったという。近い間柄の日台関係に思いが及ぶ。
ただし、花見の風景は全く異なる。
敷物に座り込んで弁当を食べ、酒を飲む集団は皆無だ。桜をカメラに収める姿が目立つ程度で普通に散策しながら花をめでている。従って、場所取りの競争や、深酒に伴うけんか騒ぎも起こりようがない。 (栗田秀之)