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ソウル あきれた『先声口撃』

2010年07月22日

 ソウル市庁に取材に行ったときのことだ。1階の窓口で受付嬢に広報担当部署の人に会いに来たと告げると、「約束相手は誰ですか」と聞いてきた。

 電話で面談約束をした際、名前をメモしたのは確かなのでかばんの中をひっくり返して探したけれど見つからない。受付嬢は無表情のまま、大声で「名前は何ですか」と畳みかけてきた。揚げ句のはてに「本当に誰かに会いに来たのですか」と言い出した。

 結局、取材相手に電話して1階まで下りてきてもらった。それにしてもこの女性。こちらが困っている様子を見れば分かるだろうに、逆に問い詰めるとは。かつて担当した東京の某役所の受付嬢とソウルは違うと相手にこぼしてしまった。

 取材相手は1階まで見送りに来た際、受付嬢に注意した。だが、彼女は堂々と「外国の方なので私の声が聞こえなかったのかと思って」と自己主張した。先声口撃。思わず新四字熟語が浮かんだ。 (築山英司)