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北京 診断は“鍼のむしろ”

2010年09月19日

 「冷たいビールばかり飲んでるでしょ。あれだけダメだと言ったのに!」。体調がすぐれず、久しぶりにかかった漢方医にのっけからしかられた。

 3カ月前の初診時だった。血液検査もしていないのに、問診や触診だけで「ビールの飲み過ぎ」「痛風予備軍」と言い当てられ、「飲むとしても、少量を常温で」ときつく注意されていた。

 中国ではビールは常温が一般的で、冷やして飲むのはどちらかといえば少数派だ。「冷たいのを飲むから、心臓に負担がかかっている」と医師。額から足首まで全身に鍼(はり)を打ちながら「ほら、つま先が紫色。血行が悪い証拠ね」「お子さんが生まれたばかりでしょ。父親としてしっかりしないと」とたたみかけてきた。

 まさしく“鍼のむしろ”。「きょうからビールは常温にします」と殊勝なことを言ってみたが、日本人としてはやはり、キンと冷えてないと。この夏、誘惑に勝てるかどうか。 (朝田憲祐)