2010年09月26日
ギリシャ南部のピレウスは、首都アテネから地下鉄で20分の港町。ホテルで宿泊の手続きをしていたら、帳場の女性が「お気の毒です」と申し訳なさそうに説明を始めた。
港湾労働者のストの日で、クレタ島やミコノス島などエーゲ海の名勝に向かうフェリーの大半が運休。観光客数1000人が港で足止めを食っているという。
深刻な財政赤字に苦しむこの国は、政府の緊縮策に抗議するストが多発。今年、大規模なゼネストだけで6回も実施されている。
島巡りや遺跡見物の人からの収入が国内総生産(GDP)の2割を占める観光国。事態を重くみた政府は、ストの“被害”を受けた客の宿泊費を補償する方針を打ち出した。
「島には行かないので、問題ありません。別の仕事で来ました」と私。「それなら良かった。次はバカンスに来てね」と帳場の女性。いや、それは…。
今年のギリシャの観光客は1割減ると予測されている。
(清水俊郎)