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カイロ 苦行も融通きかせて

2010年10月07日

 イスラム圏では間もなく、日の出から日没まで飲食しないラマダン(断食月)が始まる。8月半ばというのに、エジプトでは近年同様、時計を1時間戻して冬時間にする。

 夏時間なら午後8時の日没が、午後7時になる。日照中の活動時間が短くなるので、断食のつらさは減る。

 季節外れの時間変更につきあう在留邦人からは「エジプト人はすぐ楽をする」とやゆする声も聞こえる。が、政府自ら「夏の断食はつらい」と素直に認めているわけで、どこか人間くさくもある。時に「いいかげん」とも称される柔軟さは、この国の持ち味である。

 そんな政府は今年、さらなる異例の決断を下した。ラマダンは毎年、約10日ずつ早まるのだが、今年はラマダン終了時が9月前半なので、また夏時間に戻すそうだ。そして9月末にはまた冬時間に。

 時計の針が行ったり来たりと忙しく、さすがに柔軟すぎるきらいもあるが、夏が2回来るようでちょっとうれしい。(内田康)