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台北 中台間人形大の距離

2010年10月12日

 中国革命の父孫文を記念する国父紀念館(台北市)で「七・七抗戦記念写真展」が開かれた。見学に行き、会場の売店で意外な物が売られているのを見つけた。仇敵(きゅうてき)同士だったはずの「蒋介石総統」と「毛沢東主席」が笑顔で肩を組む一対の人形だ。

 「蒋」「毛」とも全長15センチほど。1体だと350台湾ドル(約950円)だが2体1組1緒に買えば600台湾ドルに割り引く。

 写真展は、日中戦争が始まった1937年7月7日を「日本の対中本格侵略開始の日」として忘れまいとの趣旨。旧日本軍人が中国人を日本刀で「処刑」するパネル写真など多数の抗日資料が展示されていたが、閑散としていた。

 ところが売店の話によると「蒋・毛ニコニコ人形」は1年ほど前に売り出して以来、中国人観光客には大人気という。先日の中台経済協定締結といい、目下の傾向としては第三次国共合作に向け、中台の“距離”が縮まってきているような気がする。(迫田勝敏)